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【連載コラム第4回】みんなに愛されている冬の定番「おでん」そのルーツは「芸能」だった!

すこし肌寒くなってきたからか、コンビニのおでんが目に付くこの頃です。はい。今回は「おでん」のお話です。

これは実は「田楽」(でんがく)という芸能に由来しているのです。

現在のおでんには様々の具材がありますが、最初は豆腐オンリーでした。

そんな豆腐の記録をたどると、例えば奈良の春日大社の社務所記録の寿永2年(1183年)のページに「唐符」とあり、大豆の量なども書かれているから、これは「豆腐」。

この豆腐があるときから拍子木型となり、竹串にブスッとさして焼かれるようになります。

とはいえ平安の頃は味噌ではなく塩をかけていたようです。
味噌をつけるようになるのは室町時代に、味噌を塗って焼いた「お田楽」=「お田」が登場します。

ここで「おでん」になるのです。

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なぜ田楽?というか田楽って何?という疑問が出ると思います。

田楽とは元々は田植え時に田植えと平行して行われる芸能です。
平安時代に書かれた藤原道長のサクセスストーリー『栄華物語』には、摂政・藤原道長が後一条天皇の母・彰子を招いて田植えを見たヨ、という記述があります。

そこには田植えをする若い未婚女性「早乙女」と、その田植えを盛り上げるべく男性陣が腰につけた太鼓をポコポコ叩いたり笛を吹いたり歌ったり…という景色が描かれております。

この男性たちの動きが、芸能としての「田楽」に成長します。

田んぼから分離し、芸能部分だけピックアックされた「田の芸能=田楽」は「田楽法師」と呼ばれる下層僧侶たちが行うようになり、都で人気となりました。

当時の流行の様は大江匡房が書いた『洛陽田楽記』に残っています。

これは永長元年(1096年)、夏に京都で盛大に行われた田楽、通称「永長の大田楽」を記録したもので、匡房はその様子を白居易の漢詩を引用して「一城之人皆若狂(一城の人皆狂えるが如し)」と記録しています。恐ろしく盛り上がった様子がうかがえます。

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実は、平安時代の下層僧侶たちは食い扶持を稼ぐために芸能を会得してきました。

芸達者な者は都の寺院などで芸能を演じて生活するプロ芸人に変身していくのですが、彼らは当初、中国から来たであろう「散楽サンガク」という軽業や手品などを行っていました。

その言葉が転化して後に「猿楽サルガク」と呼ばれるようになり、それを行う者たちは「猿楽法師」と呼ばれました。
その猿楽法師の中には田楽を取り入れた者もおり、そんな彼らが「田楽法師」と呼ばれるようになったのです。

そんな田楽は鎌倉時代に大流行を見せます。

鎌倉幕府の北条執権が田楽ファンだったそうです。
そんな田楽法師たちが行った芸のひとつに、一本竿の竹馬に演者の男が乗ってホッピングをする芸がありました。

この一本竿竹馬に男性が乗っている姿と、串にさした豆腐の姿が似ていることから、「豆腐田楽」の名前がつきました。

そして、時代がすぎ、豆腐以外の具材もふえ、焼き田楽から煮込み田楽に発展。

名称も「豆腐田楽」から「お田楽」へ、そして「お田」ついには「おでん」と変化していきまして、今コンビニでホカホカのおでんが買えるヨ、という話なのです。

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でも、そんな田楽ですが、鎌倉時代から室町時代になると、足利将軍家が猿楽(今の能楽)を庇護したことから芸能の舞台から姿を消しました。『太平記』に残る貞和2年(1346年)の京都・四条河原での勧進田楽、通称「桟敷くずれの田楽」(観客が押し掛けすぎて桟敷が崩壊したことに由来)の記述が最後の栄光かもしれません。

現在その姿を見ようと思うなら、田楽法師が行っていた「田楽」は浅草の三社祭や熊野の扇祭(通称:火祭り)などで見ることができます。

今年は両方とも終わってしまったので、代わりに当時の田楽を鳥獣戯画テイスト仕上げのイラストにしてみました(笑顔)

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そして、おでんの元になったホッピング芸も京都以外で見ることができます。12月の春日大社の「おんまつり」や、一部地域に残るお祭りの中に…。

でも、まあ、今は目の前にあるおでんを食べて当時のロマンに思いをはせるだけで十分楽しいかな、と思います♪


田楽いや「田の芸能」は、ほかにも特徴があるのですが、今回はあえて豆腐田楽に由来する「田楽」についてお話しさせていただきました。

ですが、本来、
①田の芸能は正月(冬)に行われる予祝(ヨシュク。先に豊作を祝うことでその年の実りを神様に約束してもらうこと)の行事
②田植え時の田植え神事
③陸にあがった田楽芸などに大別できます。

ご興味があれば、いつかまたお話できたらと思います(笑顔)


今までのコラムはこちらから
【連載コラム第1回】お祭りの意味がよ〜くわかるお話。

【連載コラム第2回】お祭りの意味がよ〜くわかるお話。「芸能ルーツ編」

【連載コラム第3回】お祭りの意味がよ〜くわかるお話。「神楽編」




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ライタープロフィール

山崎 敬子

玉川大学芸術学部で民俗芸能の講師

民俗芸能しいては日本文化の活性を目指し中心市街地活性化事業に取り組んでいる。

元広告業界専門新聞編集長であったことから日本ペンクラブに所属。


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